土佐闘犬 闘技規則解説
審判の心構え
勝負判定を下した場合は甲犬か、乙犬か、決まり手をはっきり宣告すること。
猶予時間
(1) 猶予時間とは、闘技犬に対してセリ声のみ許されるが、その他の声、走り、変態、当て込みなどについては許されない。猶予時間でその闘技犬のレベルを見ることができ、名犬ともなれば猶予時間に関係なく無声で闘技する。
(2) 標準猶予時間
大会名 |
平幕 |
三役 |
県大会 |
二分(一分) |
四十秒 |
全国大会 |
四十秒 |
二十秒 |
選手権大会 |
全国十秒 |
県規定 |
<追記>
- 闘技開始より五分以内に土俵上の飼育者は審判員に相手犬の体重測定を申し出ること。(五分以降は体重測定の申し出は受け付けません)
- 審判員の判断での体重測定は必要の都度行います。
- 牙縫いの解除タイムは十秒と致します。
一、きば縫い
- 各闘犬に二回まで認められる
- きば縫い猶予時間は全国闘技規則に十秒と定められているが、全国・東北・県大会においては二十秒で運用している。
- 犬主は審判員の「きば縫い」の宣告がなければ声援位置から降りることは出来ない。
- 宣告を受けた場合において犬主がきばを外すことを放棄した場合は当該犬に対し闘技終了まできば縫いルールは適用されない
二、セリ声
一般的には苦痛を表す声であり、若犬は闘技経験不足等から飛び込みにうなるような声を発することが多い。
また攻撃(食いながら)しながらセリ声を発することもある。
- 両犬がセリ声を発している場合。猶予時間を超えた場合において早くセリ出した犬の負けである。
- セリ声はあったがいづれか判断がつかない場合。
無理に判定を下さないで次の機会を見逃さないよう注意すること。この様な場合、気の焦りから喉声をセリ声と間違えないよう特に注意。
- 飛び込み時においてセリ声とも吠声とも判断のつかない場合 。
「ウー」「ウォッ」はセリ声に。
「ワン」「ウォッン」「ウォッ」という響声、または音声が高く区切られた声は吠声に該当するものと解す。
※喉もとに強い攻撃を受けたり、長時間に渡る闘技の場合、通称「息声」と言われる引く声があるので注意すること。
セリ声は発する声であり息声は息を吸うとき喉に引っかかってセリ声と同じように聞こえる場合がある。
- 喉声
咽頭に欠陥がある犬は、呼吸する際ゼーゼーと喉声を発するが相手犬が嫌がる場合は審判員が協議して勝負判定とする。
この場合、闘技開始後十分を目安とし、相手犬が嫌がらない場合はこの限りにあらず。
- セリ声を発することがある闘技体勢は次の場合に多いので参考までに列挙する
①強い攻撃を受け劣勢になったとき
②劣勢状態から反撃に移ろうとするとき
③気力・体力が限界に達し、相手から攻撃を受けたとき
④「立ち」の体勢から突っ込んだ場合、通常は攻撃を受けた犬がセリ声を発することが多い。しかし攻撃を仕掛けた犬が貫禄不足、度胸負けをしている若犬などは攻撃を仕掛けるときでも勇んでセリ声を発する場合があるので注意。
三、吠声
怖がったり、闘技意欲不足、貫禄負け、闘争心が尽きた場合に発する声である。
声を発するときの体勢はセリ声の場合と同様である。
四、泣き声
痛さを表す声で攻撃を受けた犬が一方的に発する声である。
五、走り
闘争意欲が尽きた場合、体勢を立て直そうとして廻り込んだ場合において甲犬が三歩歩き、乙犬が一歩追った場合に判定する。
この場合、前足はもちろんのこと、後足の歩数に注意すべきである。
- 甲犬が乙犬を見ながら回りこもうとして三歩以上歩き、乙犬が一歩以上追った場合「走り」と判定する
- 甲犬が三歩以上後退して乙犬が一歩以上追った場合は、審判員が協議し闘争意欲がないと認められる場合にあっては「走り」と判定して差し支えない
- 甲犬が二歩歩き、乙犬が一歩追う動作を一時停止しながら繰り返した場合は審判員が協議し、連続動作と認めた場合は「走り」と判定する。連続動作の範囲は概ね一呼吸(二~三秒)以内である。
六、咥え廻り
闘争意欲がなくなった場合において相手犬に噛まれた体勢で土俵を大きく一回りした場合、または土俵の端から端まで横断した場合に判定する。
- 咥え廻りの行為中、一時停止してその後引き続き土俵を廻り、合わせて一回りまたは横断した場合は審判員が協議し連続動作と認められる場合は「咥え廻り」とする。
※咥え廻りの場合、審判員の見解が異なる場合があるので討議状況を参考としながら協議することが望ましい。
七、巴廻り
両犬が土俵の端と端で対峙し同間隔で互いに追従する形を保持し大きく土俵を三歩以上廻った場合は「巴廻り」引き分けとする。
八、当て込み
甲犬に闘争意欲がなくなり、乙犬が甲犬の肩口まで三回(右左右)突っ込んでも甲犬が闘技を嫌い闘技再開しなかった場合は「当て込み」と判定する。(同方向三回も含む)
- 当て込みは連続突っ込むことを原則とし、立ち止まって一呼吸(二~三秒)以上経過した場合は連続と解さない。
九、柵割り
闘技意欲がなくなり、または恐怖感から土俵を自ら出ようとし、柵に頭を突っ込んだ場合は「柵割り」と判定する
- 「立ち」の体勢において脇見をし、柵に顔が入った場合は、当該犬がおかれている状況から考慮して審判員が協議し判断すべきである。
- 相手犬の攻撃によりその反動で策に顔が入った場合は勝負判定とならない。
- 「立ち」の体勢において相手犬の動きを察し嫌がって顔を逸らし柵に顔が入った場合は「柵割り」と判定する。
十、反則
- 「変態」明らかに交尾の体勢から動作を行った場合、口が掛った状態においても同じである。
- 闘技中、大便を排泄した場合。
- 闘技中、犬主が無断で土俵を降りた場合。
- 闘技中、汚物を吐き出した場合。
- 闘技中、犬主が土俵に物を落とした場合。
- 規定体重 小型33kg~40kgまで、中型40.01kg~45kgまで、大型45.01kg~55kgまで、超大型55.01kg以上とし、その範囲を超過した場合は失格とする。
- 申告体重は前項(六)の範囲にあり、かつ上下限、小・中型は2kg以内、大・超大型は3kg以内とし、それ以上の増減は失格とする。
- 闘技中の飼育者として土俵上に昇柵する者は、携帯電話などの電源は必ず切って昇柵すること。電源を切り忘れ呼び出し音が鳴った時は直ちにその者の犬を反則負けとする。
十一、威嚇
闘技意欲がない場合、闘争意欲が尽きた場合、体調が悪い場合に行う動作で、牙をむき出しにし、嫌悪を表すものである。
- 威嚇動作は何回か繰り返すのが一般的であるので発見した場合は直ちに判定することなくほかの審判員と協議し、さらに犬主に宣告しその後において明白な威嚇動作があった場合に判定する。
- 「威嚇」の勝負判定を見極める場合は両犬が立って闘技を行っているときに見極めるようにすることが望ましい。
- 寝た姿勢で闘技中に威嚇があった場合は歯を噛み合わせる動作を繰り返す。
十二、追い声引き分け
甲犬が闘争を嫌がって「走り」の動作を行ったとき乙犬が闘争意欲十分のため追いながら声を発した場合は「追い声引き分け」となる。
セリ声のときは「追いゼリ」とも言う。
十三、柵掛け
闘技意欲をなくした場合、犬主に甘えようとした場合に土俵上部へ前足を掛けたときは「柵掛け」となる。
※ジャンプしたが前足が土俵上部に掛からなかった場合は勝負判定とならない。
十四、物言い
- 「物言い」は勝負判定後速やかに両犬の持ち主、又は検査役のみ認める。
①「物言い」は片手を挙げ、審判長に理由を明確に述べ、協議願いますと上申する。
②審判長は意見をよく聴き、即座に審判三者、検査役、闘技部長を徴集し厳正なる協議を開始する。この際協議タイムはストップとする
③競技中は両犬とも土俵下で待機し、この間は傷の手当てなどを禁じる。(土俵上に居る場合と同様)それを犯した場合は反則判定とする。
④協議終了後速やかに闘技部長y(審判長)は協議結果を両犬持ち主と場内へ案内報告する。
⑤協議の結果「闘技続行」となった場合、両犬とも速やかに土俵上に昇り、闘技再開するものとする。速やかに闘技再開出来ない場合、出来ない方を「棄権」とみなし「負け」とする。続行(10秒)を用いる。
- 「闘技部長」は柵外において闘技全般を見定め審判員の判定微妙なる場合これを柵外より指導し審判に加わり判定を下すことが出来る。
- 「検査役」は土俵上定められた位置に座し闘技をよく見定め審判員三名にて判定の結果を見ざる場合は闘技部長を含め協議し、その結果を闘技部長に一任する。
※検査役は自ら判定(物言いを含む)を認めた場合、審判員にそれを具申することができ、審判員はこれを参考に判定を下すことができる。(検査役自ら判定を下すことはできない)
- 審判員は微妙なる判定を下す場合、二名の審判員に自らの判定意見を提言し、同意または確認などの意見調整をした上で勝負判定を下す。
- 「審判員」「闘技部長」「検査役」の協議により下された勝負判定は厳粛に受け止めるものとし、一切の抗弁は禁ずる。
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